以下のことが知りたい方向けの記事です。
- 中長距離ランナーの筋力トレーニングは効果があるの?
- 効果があるとすればどの能力を向上させる?
- 効果のある筋力トレーニングは?
中長距離ランナーのパフォーマンスはいくつかの要素で決定づけられています。
有名なものとしては最大酸素摂取量やランニングエコノミー。
そのほかにもメンタルや環境変化の強さ、戦略的な要素などもあります。
基本的には走り込みやポイント練習といった走るトレーニングの継続によりパフォーマンスアップを図るのが王道。
トレーニングの3つの原理の一つ、「特異性」の原理ってやつです😊
しかしながら、筋力トレーニングも中長距離ランナーのパフォーマンス向上が図れるのではないかと以前よりも着目されるようになってきました。
昔からランニングを継続されているの方々の中には、中長距離ランナーといえば華奢で細身が最強と考えておられる方もいるかもしれません。
筋トレなんかしたら筋肉がついて身体が重くなるんじゃないか?、持久力のある筋肉が持久力がない筋肉に置き換わっちゃうんじゃないか?、からだが硬くなるのでは?などの不安をお持ちの方がいるかもしれません😅
今回はこうした疑問に対して調べてみた系統的レビューを記事にしたいと思います😊
紹介する系統的レビューはこちら。
Effect of Strength Training on the Physiological Determinants of Middle- and Long- Distance Running Performance : A Systematic Review
Sports Medicine 48, pages 1117–1149 (2018)
UKのRichard C. Blagrove氏によって出されています。
ちなみに自分は筋トレをお風呂のお湯が貯まるまでの時間で軽く汗かく目的で15〜20分程度、ポイント練習のない日に軽くやっている程度😅
内容的にもこれを筋トレと呼んでもいいものかといった程度です😅
お風呂のお湯を貯めるスイッチを押す(トリガー)→軽い筋トレ(ルーチン)→プロテイン飲んで子供とお風呂で汗を流す(報酬)
こんな感じで習慣化されています😂
1980年1月から2017年10月までの中長距離ランナーの筋力トレーニングに関する科学論文をベータベースから検索

方法は系統的レビューという手法で過去の論文の中で質の良いものを厳選してまとめるという手法です。
1980年1月から2017年10月までの中長距離ランナーの筋力トレーニングの関する研究論文をデータベースから検索し454の論文を特定。
この論文の中から以下の取り込み基準を満たし、研究方法の質が担保されている24の論文が最終的に選ばれています。
- 対象者は6ヶ月以上の経験を持つ中長距離ランナー
- 筋力トレーニング自体が1ヶ月以上継続されている
- ランニングだけのトレーニングの対象者と比較されている
- 筋力トレーニング前後の効果を複数の測定可能な生理学的変化できちんと結果に記している
上記の24の論文を二人の評価者が、厳密に評価づけをしています。
著者らが筋力トレーニングの内容として採用しているものは以下のようなものでした。
- heavy resistance training (HRT)
- exclusive resistance training(ERT)
- plyometric training(PT)
HRTというのは結構重ための負荷をゆっくりと動かす筋力トレーニングで少なくとも10回前後でオールアウトするような負荷です😅
ERTというのはHRTよりやや軽めの負荷を素早く爆発的に動かす筋力トレーニング。
またプライオメトリックトレーニングはジャンプなどの瞬発的な筋力発揮を狙った筋力トレーニングになります。こっちもしっかりやると結構な筋肉痛が翌日出る系のやつです😅。
どれもキツそう😅
ランニングの時のキツさは耐えられてもこういう筋トレ系のキツさって耐え難いですよね💧
こういった高負荷の筋力トレーニングについて一体どんな結論づけがなされているのでしょうか?
結果はランニングエコノミーが向上、タイムトライアルのパフォーマンスと無酸素域のスピードがアップする傾向を認めた
結論を先に言うと以下の通りでした。
筋力トレーニングを行うと、筋力トレーニングを行わない場合と比較して・・・
- ランニングエコノミーが向上
- タイムトライアルのパフォーマンスアップ、無酸素域のスピードアップの傾向
- 最大酸素摂取量、最大酸素摂取時のスピード、血中乳酸濃度、体組成には影響なし
1.ランニングエコノミーについて
ランニングエコノミーに影響するかどうかについては24篇のうち20篇が言及、そのうち14篇がランニングエコノミーの向上を何らかの形で認めていました。
2.タイムトライアルのパフォーマンスと無酸素域のスピードについて
タイムトライアルのパフォーマンスがアップするかどうかについては13の論文が言及。タイムトライアルの種目は1km~10kmまでいろいろでしたが、8篇が筋トレしない群と比較して統計的に優位にタイムトライアルのパフォーマンス向上を認めていました。
無酸素域のスピードについては5編で言及しており、そのうち3篇が筋トレ後の20〜30mスプリントの統計学的に有意な向上を示しています。
3.その他の測定項目について
その他の最大酸素摂取量、最大酸素摂取時のスピード、血中乳酸濃度、体組成に関しては筋力トレ後の統計学的な優位な差は示せませんでした。筋トレすると体重が重くなるのでは?という懸念に関しては24篇中18の論文で変化はありませんでした。
今回の結果を今後のトレーニングに役立てるには?
中長距離ランナーのトレーニングに筋力トレーニングを補助的に加えることはランニングエコノミー、タイムトライアル、スプリント能力に好影響与えるということを示唆した内容でした。
著者らは24篇の論文を評価し、週2〜3回の頻度で、できれば誰かにみてもらいながら6〜14週の期間継続すれば十分な効果が得られる可能性が高いと述べています。
今回の筋力トレーニングのメニューの中でどれが最も効果的であるかを識別することは困難であるとした上で、筋力トレーニングのメニューとしては、まずはおしりや大腿部といった下肢の近位の筋肉をターゲットにしたHRTを優先することを推奨していました。
この部位はランニングエコノミーに好影響を及ぼす可能性があるためです。
メニュー的にはやっぱりフリーウエイトでスクワット、デッドリフト、ハイクリーンなんかで10回いくかいかないかでこなせなくなって補助者に助けてもらう的な感じでしょうか😅
考えただけでもキツそうです💧
今の僕がお風呂前にやっている内容では不十分ということが証明されたような気がします😂
少しメニューの変更を考えてみようかな😅
最後に
今回は中長距離ランナーの筋力トレーニングの効果について記事にしました。
筋力トレーニングを追加することで好影響を及ぼす能力がいくつかあり、しかも筋力トレーニングをすることで体重が増えたり、最大酸素摂取量を低下させたりはしないということが示されています。
今回の記事が筋力トレーニングを追加するかどうか検討する際の一助になれば幸いです😊
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